『暗夜行路』:志賀直哉 [本!]
打ち克てない惨めな気持を隠しながら、人と会っている苦しみ、そしてへとへとに疲れて逃れて出てくる憐れな自分、それを思うと、何処へも行く処はないような気がするのであった。結局只一つ、彼が家を出る時から漠然頭にあった、悪い場所だけが気軽に彼のために戸を開いている、そう思われるのだ。彼の足は自然その方に向かうのである。
そして彼は同じ電車の誰よりも自身を惨めな人間に思わないではいられなかった。・・・・自分はどうだろう。・・・・・眼は死んだ魚のよう、何の光もなく、白くうじゃじゃけている、そんな感じが自分ながらした。
今朝電車の中でこの部分を読んだとき、なんだか自分のことを志賀直哉が書いているような気がして、どきどきしました。
・・・・今の私は、まさに↑の感じです。
誰も彼も、みんな自分より偉くて幸せそうに…
でもね…みんなに春は来ます。
ryuさんにも、春は来てますよ、きっと。
by GUSUKO-BUDORI (2006-03-12 00:57)